医学部が人気な理由に「医者が高年収だから」というのがあると思います。
厚生労働省の「平成29年 賃金構造基本統計調査」を参考にした平均年収が高い職業ランキングでも医者は堂々の1位です。
1位:医師 / 1,232万円
2位:航空機操縦士 / 1,191万円
3位:大学教授 / 1,050万円
4位:公認会計士、税理士 / 1,042万円
5位:弁護士 / 1,028万円
医者が高収入な理由は何でしょうか?「医者=高収入」のイメージがあまりにもまかり通っているので即座に答えを出すのはなかなか難しいでしょう。
仕事がきついから?いえ、楽に稼げる医者のバイトも探せば存在します。(楽なバイトばかりしてる方が逆に年収は上がると思います)
頭が良いから?間違ってはないと思いますが、医者より頭が良いサラリーマンはたくさんいますよね。
最大の理由はもっと別のところにあります。
医者が高年収なのは「国のおかげ」
これは日本の医学部の入学定員の推移を示したグラフです。
日本の人口増加は1980年代に1億2000万人を突破してから落ち着くのですが、それとほぼ同時に医学部の定員増加も止まり、1990年~2010年の間にいったん減少し(医師の過剰を招かないようにする閣議決定によるもの)その後、2009年頃から国が僻地での医師不足を解消するために多くの大学に地域枠を設定させた影響で、再び増加し、現在9000人強になっています。
減らしたり増やしたり、やや落ち着きがないように思えますが、1980年代からは大体8000人弱~9000人強で推移していることがわかります。
医療というのは国の大切な公共事業の一つですから、国に裁量権が多く与えられています。国としては、「医師数を一定に保ち、国民が良質な医療を全国どこでも受けられるようにする」というのが目標な訳です。
医師不足はもちろんダメですが、医師過剰も「医療の質の担保」という意味ではあまり良くないのです。
そんな訳で、国によって医師の数はある程度一定に保たれていますので、供給過多になることがなく、年収は高くなるという訳です。要は需要と供給の関係ですね。国のおかげで競合相手がいないという何とも素晴らしいシステム。
今後どうなるかはわからない
これだけ見ると医者は国に守られた最強の職業みたいな感じですが、今後どうなるかは正直わかりません。
定員増で医者余り?
先程も書きましたが、2009年頃から各大学の地域枠の設定により医学部定員は増えました。この地域枠ですが、基本的には卒業後9年間僻地の病院で働くのが義務となっています。
この地域枠の制度でよく心配されているのが、義務の9年間が終わった医師は都会へ帰ってしまうのではないか?というものです。医師が子育てをする場合、子どもにしっかり教育費をかけて育てるのが一般的だと思いますが、やはり僻地に進学校は少なく、子どもをしっかり教育したい場合は不向きと言わざるを得ません。
地域枠出身の医師がこのように考え、都会へ帰っていくと、結局都会の医師数を増やしてしまっただけになりかねません。
医学部の6年間と義務の9年間を考慮すると、入学から最短で15年後に都会へ帰れますから2025年頃から影響が少しずつ現れ始めるでしょう。
また、国の認可が下りたため、2016年に東北医科薬科大が、2017年に国際医療福祉大が医学部を設置し、さらに定員が増えたというのも見逃せません。
AIの台頭
そして、やはりAIです。AIやロボット化の波は必ず医療業界にも来ます。
「機械学習で病理診断、放射線科は仕事ゼロ」とか「ロボットに血管縫合は無理。外科医は生き残れる」とかいろいろ言われていますが、どれも根拠に乏しいというか、噂でしかないですよね。個人的にはどの科も確実に今より仕事は減ると思っています。どうなってしまうのやら。
まあ、これは医療業界に限らず、どの業界でも深刻な問題だと思うんですけどね。
コメントお願いします!
ブログを始めたばかりでわからないことだらけです…
コメントでフィードバックしていただければすごく助かります!
記事のシェア、Twitterのフォローもよろしくお願いします!
コメント
病理も放射線科もAIで仕事は減るだろうけど、結局責任を取るのは医者だから人の数はあんまり変わらないんじゃないかと思いますね。なんにせよさっさと偉くなってでけぇ椅子に座りながら金もらいたいね。