今回は、地方別の強い医局を見ていきたいと思います。
医学生、研修医の皆さんは将来入るべき医局が見えてくるかも?
「そもそも医局って何?」って方はこちらをどうぞ!
国公立医学部をルーツで分類(おさらい)
医局の強さはその大学医学部のルーツとなった学校が古いほど強くなる傾向があり、そして、やはり国公立の方が私立より強くなる傾向があります。
という訳で、前回記事のおさらいで、国公立医学部をルーツで分類したものを見ていきましょう。
前回記事はこちらから。
・旧帝大:東大、京大、阪大、北大、東北大、名大、九大
・旧制医大:千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大、京都府立医大
・旧制医学専門学校:弘前大、群馬大、東京医科歯科大、信州大、鳥取大、徳島大、広島大、鹿児島大、神戸大、三重大、岐阜大、山口大、札幌医大、福島県立医大、横浜市立大、名古屋市立大、大阪市立大、奈良県立医大、和歌山県立医大
・新設医大:旭川医大、秋田大、山形大、筑波大、富山大、福井大、山梨大、浜松医大、滋賀医大、島根大、香川大、愛媛大、高知大、佐賀大、大分大、宮崎大、琉球大(+防衛医大)
この表の上の方ほど歴史がある医学部で、医局も強い傾向にあるということですね。
ここからはいよいよ地方別の医局の強さを見ていきたいと思いますが、よくわからなくなったら、表に戻ることをオススメします。
北海道:北大一強
北海道は国公立医学部が3つ(北大、旭川医大、札幌医大)ある特殊な都道府県です。
北海道で強いのは旧帝大の北大です。
札幌市内では少々札幌医大とのバトルが起こっています。
話は逸れますが、札幌医大は「和田心臓移植事件」が起こった場所として有名ですね。医学生は知っておいた方が良い事件だと思います。この事件によって日本の移植医療は30年遅れたと言われます。
旭川医大は道東を守備範囲としていますが、やはり大きな病院は北大に取られています。
東北:東北大(+弘前大、岩手医大、福島県立医大)
東北地方ではやはり旧帝大の東北大が強いです。
一方、弘前大は青森県内、岩手医大は岩手県内で、福島県立医大は福島県内でそれぞれある程度の自治を保てている印象です。岩手県は私立の岩手医大しか医学部がないという珍しい県です。
2016年新設の東北医科薬科大は東北大の支配下に置かれています。
関東:東大vs慶應
関東で強いのはやはり旧帝大の東大、そして慶應大です。激しいバトルが繰り広げられています。
さっき国公立の方が私立より強くなる傾向にある、と書きましたが、慶應だけは別格です!
千葉大は元々旧制医大であり、歴史は古いのですが東大と慶應には勝てず、なかなか勢力を広げられずにいます。
東京医科歯科大、横浜市立大、筑波大は立地が良いため偏差値はかなり高いですが、医局の強さを考えれば偏差値と釣り合わないですね。
東海:名大一強
東海地方は旧帝大の名大一強です。
一強すぎてバトルもあまり起こらず、関東と比べるとかなり平和ですね笑
名大と岐阜大は2020年4月に運営法人が統合され(東海国立大学機構)、岐阜大は事実上名大の傘下に入りました。
これにより今後ますます名大の力は強くなっていくことが予想されます。
北信越:金沢大vs新潟大(金沢大有利)
北信越地方には金沢大と新潟大という2つの旧制医大をルーツとする医学部があり、バトルを繰り広げていますが、金沢大が石川県、富山県で覇権を獲っており、私立の金沢医大も支配下に置いていることを考えると金沢大有利と言えるでしょう。
長野県内は信州大がある程度自治できています。
福井県内は京大の力が及んでいます。
関西:京大vs阪大
関東で東大と慶應が激しく争っているのと同様、関西では京大と阪大がバトルしています。
元々旧制医大の京都府立医大は京都市内ではかなり強いのですが、市内を出れば京大の天下です。
京大は西日本一帯で大きな病院を持っており、なんと九州にも病院を持っています。これは九大医学部が元々京大の附属(京都帝国大学福岡医科大学)だったことに由来すると言われています。
大阪府内はやはり阪大が強いですね。人口も多いですから病院も多いです。
大阪市立大は大阪市内で阪大と少々バトル中。
神戸大は兵庫県内をある程度自治できていますが、京大阪大と後述の岡山大に挟まれ、不遇と言えます。
京大は関西医大を、阪大は兵庫医大、近畿大をそれぞれ支配下に置いています。
中国:岡山大(+広島大、京大)
中国地方は元々旧制医大である岡山大が強いですね。
勘違いされやすいのですが、岡山大と広島大は岡山大の方が歴史は古く、医局も強いです。ただ、最近では広島大も勢いを強めつつあります。
岡山大は川崎医大を支配下に置いています。
また、京大の力は強く、中国地方にも大きな病院をいくつも持っています。
四国:岡山大(+徳島大、京大、阪大)
岡山大は四国地方でも力を発揮しています。
徳島県内は徳島大がある程度自治しています。徳島大は医歯薬の各学部が揃っている、地方大学ではかなり珍しい大学です。
そしてまた京大です。大きな病院を押さえています。
最近では阪大も勢力を広げており、四国での覇権争いは想像以上にカオスです。
九州:九大(+長崎大、熊本大)
九州地方には旧帝大の九大、元々旧制医大の長崎大、熊本大と、歴史の古い国立医学部が3つあります。
しかし、やはり旧帝大の九大が強いですね。長崎大は佐賀方面へ、熊本大は鹿児島方面へ勢力を広げていきたいようですが、なかなかうまくいっていません。
話は逸れますが、長崎大は熱帯医学の研究が盛んで、医学部の入学枠にも「熱帯医学研究医枠」が存在する珍しい医学部です。
九大は産業医大と福岡大を支配下に置いています。
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ブログを始めたばかりでわからないことだらけです…
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コメント
関西地方における神戸大学と大阪市立大学についての記載が無いのが気になりました。首都圏在住で関西の事がよく分からないので教えて頂きたいです。
コメントありがとうございます!
神戸大、大阪市立大について加筆しました。
こういうの見るとせっかく部活引退したのにまた面倒臭い人間関係に巻き込まれるのかと思うと憂鬱になるでござる。働きたくないでござる。
毎回楽しく拝読しています。
記事中で「バトル」という表現がよく出てくるのですが、これは具体的にはどのような形での争いなのでしょうか?
例えば、院長の交代で支配大学が変わったりするのか、同一病院内にA大閥とB大閥が存在して両大学がポストを巡って争うのか、新設病院の主導権を巡って争うのか・・・etc.
素人質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます!
いろいろな形がありえます。(院長が交代しいきなり支配大学が変わることはあまりないと思いますが…)
医局は言ってしまえば医師を派遣する組織です。ある病院に多くの医師を派遣できれば病院内の影響力を強めることが出来ます。バトルとは大学同士のこの影響力争いのことですね。
最近では病院内で〇〇科はA大学、△△科はB大学、××科は周辺大学ごちゃ混ぜ、のように完全に棲み分けをする感じになっている病院も増えてきています。